以前の記事で回生ブレーキで電費がマイナスになることがあるということを書きました。
テスラの電費表示の場合、上段は最後の駐車状態からの電費ということになるので、山の上のホテルに宿泊して下りてくるような場合に、このようなマイナス電費ということが発生します。これはつまり、走れば走るほど電池に貯めている電気容量が増えるということです!
もちろんこの電気は根本的には、山を上るときに貯めた位置エネルギーを電気に変えているだけなので、その分はあらかじめ上り坂で消費しています。でも、登り坂で燃費が悪くなるのはガソリン車も一緒ですから、下り坂でその分が返ってくるというのは、電気自動車のアドバンテージです。
では、その位置エネルギーはどのくらいでしょうか。位置エネルギー(単位はJ=ジュール)は、1N(ニュートン)の力で1m動かす仕事量に相当します。地球の重力加速度は9.8m/s^2なので、我が家のモデルX 60Dの車重(車検証に書いてある総重量)2,795kgで計算すると、高度1mあたり2,795×9.8=27,391Jということになります。1Jは1Wの力を1秒間働かせる仕事量なので、3,600J=1Whです。つまり、27,391Jは7.61Whです。
高度1mあたり7.61Whの位置エネルギーですから、1kWhあたりに直すと、1000/7.61=131.4mです。つまり、高度130mあたり1kWhの位置エネルギーに相当します。
我が家のモデルX 60Dは全体の電池容量が60kWhですから、例えばその10%は6kWhで、高度780mに相当します。780m上るために、電池容量の1割を使うわけですから、よくよく電気自動車は高度差について理解しておかないと、なぜか電欠!ということになりかねません。
もちろん、上るときに消費する電力の100%を位置エネルギーにできるわけではありません。同じように、下り坂では位置エネルギーが100%充電できるわけでもありませんが、感覚的には半分以上は返ってくるように感じています。
もし5%の下り坂をただひたすら下ると、マイナス電費はどのくらいになるでしょうか?20km走行して、高度差1000mの位置エネルギー1000/130=7.7kWhの半分が回生されるとして、3.85kWh/20km=192Wh/km、だいたい通常走る場合の電費と同じ程度のレベルなので、5%の下り坂なら、電費はプラスマイナスゼロくらいという計算です。実際は、5%の下り坂なら電費は確実にマイナスになる気がするので、やはり回生効率は50%より大きい。山道の電費では、平地以上にガソリン車より有利に働きそうです。
EV山行と位置エネルギーについて、ようやく同志を見つけました。
私はテスラM3LR(2021上海)に乗りましてはや1年半です。R4年4月にスキーで志賀高原に行きましたが、下りで往路の40%位を充電したように記憶しています(次回計測します)。
M3LRに2名乗車し荷物を積んだとき約2000Kgと仮定します。標高差2000m(日本の3大峠)では、2000Kg*9.8*2000m=39200000Jです。1Wh=3600Jで割ると10889Wh=10.9KWhです。効率100ではないにしろ、75KWhの電池容量から考えると、渋峠スキー場も経路充電しないで行けそうです。今年挑戦します。電欠しそうになればUターンすればよいだけですね。