モデル3には元々9台のカメラが埋め込まれています。主にオートパイロットに使われる3台構成のフロントカメラ、左右前方にあるサイドカメラ、左右のピラーに埋め込まれたピラーカメラ、トランクリッドの脇についているリアカメラ、そしてバックミラーの上にあるドライバーカメラ。これらは基本的にオートパイロットや自動緊急ブレーキ、オートパーキング、サモン(車外からクルマを動かしたり、駐車場でクルマに来てもらう機能)などの制御に使われます。
テスラはこれらの高度運転補助機能(ADAS)を専用装置ではなく、ごく一般的なカメラと、大量の画像を処理する高性能な汎用コンピューターで実現しているところが、他のメーカーと大きく違うところです。実際のところ、ソフトウェアを更新するたびにコンピューターの処理能力が足りなくなり、オートパイロットの人工知能に使われるコンピューターは、初期のモデルSではHW1、その後のモデルS/XではHW2、モデル3の発売とともに導入されたHW2.5、2019年後半以降のHW3と、現在4種類のコンピューターがあります。古いハードウェアでは、新しい機能が制限されています。HW3を見分ける方法として、クルマ周辺にある三角コーンが認識されているかどうかを見ることで判定できるのですが、裏を返せばHW2.5までの能力では三角コーンまで画像認識して識別する処理能力には不足しているということになります。
カメラとソフトウェアによる画像処理という構成のメリットとして、画像を異なる用途に転用したり、逆にコンピューターの能力を違う用途に使うことができます。あるユーザーがElon Muskのtwitterに「せっかくついているカメラをドライブレコーダーにできないか?」と提案したことから、トントン拍子に実装されたのがドライブレコーダー機能。(英語ではあまりドライブレコーダーとは言わず、dashcamと呼ぶのが一般的ですね)
我が家に新しく来たモデル3は、HW3で十分に画像処理能力に余裕があり、車内に取り付けたUSBメモリに動画を記録するドライブレコーダー機能がついています。ただ、もともとドライブレコーダーを目的につけているカメラではないので、一般的なドライブレコーダーに比べて画角が狭く、現在のドライブレコーダーとしては低解像度です。記録される動画のスペックは1280×960@36fps、コーデックはH.265/HEVCで記録レートはおよそ4Mbpsです。
日本国内でもカー用品店に行けば数多くのドライブレコーダーを売っていますが、ドライブレコーダーの最高性能機種といえば、グローバルにはBlackVueが有名です。2021年現在、BlackVueのフラグシップはDR900X-2CHです。2台の広角4KカメラとWi-Fi接続によるクラウド連携がセールスポイントですが、リアルタイムに連携するためのLTEモジュールや、駐車時の記録のための大容量バッテリーもオプションとして用意されています。日本のカー用品店には売っていませんが、テスラの場合、BlackVueのインストール情報やYouTube動画などのリソースも多く、あえてドライブレコーダーを追加するならやはりBlackVueが魅力的です。
一部日本国内で販売しているオンラインショップなどもありますが、最新のDR900X-2CHはさすがに扱っていない場合が多いようです。amazon.comなどで買えるかな?と思って検索してみたら、BlackVueのオンラインショップで普通に日本に発送していました。しかも日本まで送料無料です。つい勢い余って、最大容量の256GBメモリーにLTEモジュールと駐車時録画のためのバッテリーをつけて、フルセットで買ってしまいました。
発送元は韓国なので近いですね。実際、オーダーして3日で届きました。購入価格はUS$1,197.99(クレジットカード請求額132,684円)ですが、輸入時消費税が8,700円かかったので合計141,384円になりました。ドライブレコーダーとしてはかなり高価ですが、何かあったときのことを考えると、このくらいの投資はしても良い気がしています。