急速充電器のユーザー体験

Webサイトやスマートフォンのアプリなどの設計では、よく「UIよりUX (User eXperience = ユーザー体験)」などと言われることが多いようです。画面の見た目よりも、利用目的に応じて必要な行動全体を見渡して、表示方法や操作方法をデザインしましょう、というような意味です。

そうした観点で考えると、どうも急速充電器、特にCHAdeMOのUXは決して良くないのです。何が快適じゃないと感じるのか、考えてみました。

  1. 時間が読めない
    一番困ると感じるのはこれです。急速充電器の場所はナビやEVsmartのアプリなどで探すことができますが、いつ充電終了するのか、時間が読めない。誰か他の人が充電中かもしれず、他にも待っている人がいるかもしれないので、いつ充電開始できるかは行ってみないとわからない。しかも待った挙句、充電中のEVの持ち主が現れないこともあります。
  2. 結果も読めない
    充電開始できたとしても、多くのCHAdeMO充電器は30分の時間制限となっているため、20kWの充電器で最大10kWh、50kWの充電器でも最大25kWhしか充電できない。しかも実際に充電できる電力量はバッテリーの構成や車両側と充電器のソフトウェアのアルゴリズムによって少しずつ違い、30分後の状態が正確にわからない。30分後に継続して充電(おかわり)できるかどうかも、次の人が来るかどうかに左右されるので、わからない。
  3. 操作が煩雑な上に統一されていない
    CHAdeMOの場合、認証カードが必要。自動車メーカーから提供されていたり、月額費用を支払って加入している場合は、持っているはずですが、そうではない場合にはゲストカードが必要だったり、さらに電話でカード払いの手続きをする必要があったりします。充電器本体で認証カードを操作するものもあれば、認証カードは別の装置を使う場合もあります。認証操作をしなければ充電コネクターが外れない充電器もあれば、充電コネクターをEVに差し込んでから認証する場合もあります。認証カードはEV車両に紐づけられていて、別のEVに使いまわすことはできないのに、なぜ認証カードで操作しなければいけないのか理解に苦しみます。

テスラのスーパーチャージャーは、CHAdeMOよりは遥かに洗練されたUXになっています。

バレーパーキングの六本木を除いて、スーパーチャージャーは最低でも4基設置されているので、充電待ちが発生しているのを見たことはありません。(日本よりも台数がけた違いに多い米国では、待ちが発生して問題になっているようです)

充電を開始すれば、バッテリー容量の大きいEV(テスラの現行モデルでは最大100kWh)でも、30分~1時間程度で充電は終了するので、よほど時間優先の状態でもなければ、常に結果は100%充電です。

操作はほぼ何もなく、充電器のコネクターを車両に差し込むだけです。充電器は自動的に車両を認証します。充電費用は車両の契約によって違いますが、有料の場合でも充電量に応じて、あらかじめテスラに登録しているクレジットカードで自動的に決済されます。

それにしても、CHAdeMOの30分という区切りは、なかなか中途半端で扱いにくいです。10~15分くらいで終わればトイレ休憩で良いのですが、食事や買い物の合間に充電したいニーズだと、逆に30分で車両を移動しなければいけないのが非常に不便です。ショッピングモールなどでは、駐車場とショップやレストランが離れていて、しかも車両を移動する先を探すのにひと苦労ということも多く、30分で3割くらい充電できたけど車両を移動しないと!というような状況が発生しやすく、これはストレスフルです。

一律で50kW 30分などという形ではなく、利用者のニーズにあわせて出力や充電時間にある程度の幅があり、それも複数の充電器でシェアしたり、順番に切り替えたりするようなしくみがあると理想に近づくのかな、と思ったりします。

そのためには、1か所に複数の充電器が設置されることや、それ以上の台数分の駐車スペースが必要になるわけで、その前提は、やっぱりEVがもっと普及することなのでしょうね。

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